DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―


海牙は、一時期より短くなった前髪を掻き上げた。



「それなら、どうすればいいんです?」



おれは、大事なものを投げ捨てるような気分で言った。



「姉貴と付き合うことになったら、一発、海ちゃんのこと殴らせろよ」


「いつの時代の頑固親父ですか?」


「別に、今の時代のシスコン弟のセリフでも問題ないでしょ?」



海牙は、喉を鳴らす笑い方をした。



「殴るくらいで気が済むのなら、いくらでもどうぞ。ぼくは基本的に好き勝手に生きる人間ですけど、きみには認めてほしいからね。真剣なんです」


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