DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
おれは、ストップの格好で手のひらを掲げた。
「何で親父に挨拶するだけで障害物がなくなったと思えるわけ? おれ、すっげーシスコンだっていう自覚あるんだけど」
「姉貴と交際したければ、おれを倒して交換日記から始めろ! とか言います?」
「言わねーよ。とっくにスマホで連絡取りまくってんでしょーが」
「じゃあ、何なんですか?」
「言葉にできねぇモヤモヤがある。これ、理屈じゃねぇんだ。相対的に評価しろってことなら、ほかの誰かじゃなくて海ちゃんでいいやってなるけど」
「海ちゃん『で』いい、ですか」
「海ちゃん『が』いいっていう絶対的な評価を下せるのは姉貴だけだし、姉貴が選ぶんならしゃーないってわかってるけど、やっぱモヤモヤは残るよね。
海ちゃんが友達としておもしれーやつだっていう認識とは別のところで、モヤモヤする」