DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
自分の言葉に鼓舞されて、衝動が湧き起こった。
破壊衝動。
中途半端にダラダラ続いてく世界なら、もういっそのことド派手にぶっ壊れりゃいい。
額の胞珠が痛い、痛い、痛い。
ぶち込んだ思念が強すぎて、その増幅ペースも速すぎて、処理が追い付かなくて痛い。
頭が締め上げられるように痛い。
でも、痛いのが気持ちいい。
【ぶっ壊れちまえッ! 全部、全部ッ!】
おれが発信源の思念が、言葉が、チカラが、誰も立っていられないくらいの勢いで噴き出している。
ちょっと離れた建物の窓から、痛みに耐えかねた絶叫が聞こえた。
それから、ポンッと音がして、誰かの胞珠が破砕したのがわかった。
そんなのがいくつか続いた。
すげー。
おれって、こういうことできんだ。
叫んだだけで、人、殺しちゃったよ。
【ははは、あはははは、ははははははははっ!】
おれが笑うだけで、煥も海牙も鈴蘭も立ち上がることができない。