大好きな先輩は隠れ御曹司でした
その勘違いは宴会終盤、程良く酔った光希が岡澤に言った、

「あんな告白みたいな冗談、私以外だったらまに受けますよ?そしたら先輩、刺されちゃうかもですよ?社会人になるんですから気を付けて下さいね」

という台詞で終わった。

「こっち、来て」

と不機嫌に呟いた岡澤が強引に光希の腕を掴んで店の外に連れ出したのだ。

正直、その後の事は記憶がハッキリしない。

いや、外に連れ出されて壁ドンされて真剣な眼で熱い告白を受けた事も、勢いに負けるように頷いた事も覚えてはいる。

だけど、後の記憶が断片的なのだ。
宴会に戻ったら驚いたサークルメンバーに質問責めにされた事や、囃し立てられて二人で帰った事、女子メンバーの幾人かに怖い視線を向けられた事なんかが映像的に思い出せるだけで、ハッキリしないのだ。

きっと光希も自分が思うよりテンパっていたのだろう。

「なんせ、恋愛感情持たないって無意識の意識で決めてた人からの告白だったからなー」

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