大好きな先輩は隠れ御曹司でした
そのままの勢いで、静香さんに勧められるままに岡澤にメールを送る。

『金曜日の仕事帰りに飲みに行ける日ってある?』

緊張して妙にそっけない文面になってしまったけれど、送信してしまえば後戻りは出来ない。
その後は「案ずるより産むが易しよ」と笑顔で言い切る静香さんとランチを食べる事に専念した。




気をつけていたのに、メールの着信に気付いたのは会社に帰って来てから。まだ昼休みが終わってないのを幸いに、すぐに文面を確認した。

『今週ならいいよ。あと、来週からまた出張決まった。今度はイギリスに二週間。部長と俺と藤末さんと。ごめんな』

読んだ瞬間、安堵と寂しさでふぅっと大きく息を吐いた。今週末に会えるのも嬉しいし、この胸のモヤモヤを早々に解決出来るのも嬉しい。でもまた出張に行ってしまうは仕方ないけれど、やっぱり寂しい。

と、文面が引っかかった。この『ごめんな』は何についてだろう?

しかもわざわざ出張メンバーをメールで知らせてくれた事なんて今までなかったはずだ。
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