大好きな先輩は隠れ御曹司でした
資料室へ向かう途中、凡ミスへの自己嫌悪から光希は軽く岡澤に責任転嫁した。

「先輩のせいなんだから。だいたいちゃんと会話出来てたら、こんな不安になったりしないんだから」

実はあのメールの後、岡澤と今日まで会話出来ていないのだ。

普段から仕事が忙しい岡澤とは平日に会える事は少ない。けれど愛情表現を惜しまない岡澤はマメに連絡をくれて、ほぼ毎日電話で会話していたのに。

確かにこれまでも電話さえ出来ない事は度々あったし、今回も急な出張で忙しくなった事を詫びる言葉と共に光希を気遣うメールも送ってくれている。岡澤自身の行動に普段と違うところはない。

けれどタイミングがタイミングだけに光希は悪い想像が頭をぐるぐる回るのを止められない。
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