傷だらけの君は


その腕は、見るも耐えないほど腫れ上がっていて色も変色していた。


どことなく歩き方もふらふらしていて、どう考えても彼女のほうが大事だ。



「ちょっ、待ってよ」


慌てて彼女の折れてない方の腕をつかむ。


そのときにちらりと見えた白い腕には、たくさんの生傷があった。


……違う。


永倉さんの熱も僕の腕も、治したんじゃない。


この子は、



全部自分に移してる。


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