傷だらけの君は
そんな……こと、信じれるわけがない。
「はっ、離してください」
あたしは腕を振るった。
緩まっていた土方さんの手は、すぐにあたしの腕から離れて。
「帰ります」
「出ていこうものなら、今ここでお前の首を落とす」
土方さんはそう言って、腰に差している刀に手を置いた。
「冗談でしょう。失礼しま……っ!」
ヒュッと風を切る音とともに右頬に痛みが走った。
手で頬に触れると、指先が真っ赤に染まった。
土方さんの目は本気だった。
「お前の父親は、金を積んだら喜んで承諾した。お前は売られたんだよ、俺に。
……新選組に」