Silver Night-シルバーナイト-
言われた通りベージュのソファーへと腰をかけると、保冷剤をタオルで包んだ琉聖が戻ってきてそれを私に手渡す。
「ほら、冷やせ」
「……ありがとう」
「お前、今日からしばらくここに泊まれよ」
「……泊まる…?」
いきなりの琉聖からの提案。だけど私の隣に座っている琉聖は当たり前かのように平然とそう答える。
「今お前のことほっといたら、飯も食わねェ風呂も入らねェ睡眠もとらねェ。そんな気がする」
いつもの意地悪な口調とは裏腹に、真剣に真面目な顔をして言う琉聖。
「でも…」
「この家は伊吹の姉さんの家なんだ。でも結婚して海外に行ったらしくて今は伊吹が住んでる。そんでそこに俺も住まわせてもらってんの」
そうだったんだ。全然知らなかった。
私こう考えると琉聖の事何にも知らない。
他のみんなの事も……
「まぁ、お前が嫌だって言っても強制的に泊まらせるけどな」
保冷剤を手に持ったまま、琉聖の方を見ていると、私が持っていた保冷剤を取ってそれをそっと私の目元へと当ててくれた。
「……ごめんね…」