Silver Night-シルバーナイト-
「ここに来るよう梓に言われたの?」
優しい言葉使いなはずなのに、いつもみたいな悠真の穏やかさとは少しどこか違う。
「いえ…違います。自分で来ました…」
女の子らしく可愛らしい言葉使い。
悠真の背中が動いた拍子少しだけあの子が見えた。
「悪いけど、ここには入れない。梓の事は下で待っててくれるかな?」
「はい…分かりました…」
私が見ている事に彼女も気が付いたのか、一瞬だけ絡み合う視線。どこか不安気な瞳。だけどそれも長くは続かなくて、そのまま階段を下りていこうとそのまま目をそらした。
「あの!待って…」
無意識に口から放たれた言葉。
そんな私の行動に、扉の前にいる悠真が驚いたように目を見開く。うん、それはそうだ…自分でも何でこんな事したのか…呼びとめたのか驚いている…
「…はい」
私の声に、もちろん振り返って彼女は返事をするわけで。再び目と目が向き合った。