Silver Night-シルバーナイト-
「手、熱い」
私の右手をスッと握ると、さらに眉間のシワん深くして困ったように溜息を吐き出す。
「傘忘れちゃって…そのまま雨の中いたから」
「まったく、莉愛は変な所本当に抜けてるよな」
「ごめん…」
「いつも、今日は大丈夫かなって思ってる」
年下の聖に毎日そんな事を考えさせるなんて…私よっぽどしっかりしてないと思われてるみたいだ。
「なぁ、莉愛」
聖はしゃがみこんでいた体制を整えると、そのまま立ち上がって私のソファーの隣へと腰掛けた。
「戻って来ないか」
「………え?…」
今……何て……
「心配なんだよ今日みたいな事があると。ずっと考えてた、このまま莉愛を一人にはしておけないって」
戻るって…それは確実に間宮の家に戻るって意味で…
そんなこと、出来るはずがない……
「聖…何言ってるの…」
「今、お爺様はあの家には住んでいない。会社の方にいる事が多くてほとんど帰って来ないんだ。だから大丈夫、莉愛も安心していられるよ」