あの駅でもう一度、君を待つ。


やはり駅に着くと、ラッシュ時ほどではないけど、それなりに人がいた。


私はポケットから小銭を取り出すと、切符を買い、改札で切符を通して歩いて行く。



階段を降りると、久しぶりに聞く音楽が流れた。それと同時にブオオと風が吹いて、私のセミロングのくせっ毛を揺らす。電車が来る合図だろう。だが、まだ気持ちが整っていない。



髪の毛を手で押さえながら、はじの方へと向かう。


私のすぐ横で電車が走って行った。


壁の方まで来ると、電車の扉が開いて小さく息を吐いたように人が出て来る。




その人たちはそれぞれが他の人なんか見ず、ただひたすらに階段へと向かって行く。



その光景をぼんやり見つめていると、ふとベンチに人が寝ていることに気づいた。
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