【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
そんなあきれた私に気づき、部長は当たり前のように言葉をつづけた。
「だって、これの続き俺たち見てないじゃん」
見てないよ。確かに。
だからって……。
もう部長が何を考えているとか、そんな事はどうでもいい気がしてきた。
今自分がもう一度この人と一緒にいる時間を、大切にしようそんな事を思いながら、私はどこか懐かしい映画のヒロインに目を向けた。
そして、大切な人がいるのに、こうして他の女の所でこんなことをしているこの人は、やはりひどい人なのだろうか?
そんな事を思うも、それでもこの人に贖えない私も、同じぐらいひどい事をしているのかもしれない。
でも……。
諦めきれない思いからか、どうしても拒否できない。
大切な人じゃなく私を選んでくれるの?
そんなずるくて、醜い自分の感情に気づかないふりをして、お互いの小指だけかすかに触れるこの距離の意味を考えたが、答えなど出る訳もなかった。