【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
「用事はそれだけよ。ちなみに私は宝生グループの娘よ。その意味がわかるわよね」
その言葉を残して、宝生日名子はコツコツとヒールの音を鳴らして応接室から出ていった。
ひどいよ……。どうしてこんな仕打ちを……。
こんなことならやっぱり再会なんてしたくなかった……。
優しさなんて知りたくなかった……。
終業時間が近くて、今日ほど良かったと思った事はない。
あれからどうやって仕事をこなしたか、正直わからなかったが、それなりに仕事が進んでいる自分にホッとした。