【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら

「先日、優悟がようやく会社に入ってくれました」
お母様は特に表情を変えることなく、静かに話し始めた。

「はい」

「そして、あなたとの将来を考えているとも聞きました。あなたも同じ気持ちでいいのかしら?」

「はい」
優悟君が話していてくれたことが、嬉しかったし私自身もう迷う事はなかった。
真っすぐ見つめ返した私に、お母様が先に視線を逸らした。

「そう……。でもこれは?」

そして横に置いてあった封筒を、私の目の前に置いた。

何かわからず私はそっとその封筒を手にして、ゆっくりと中を確認する。

「なんですか……?これ」

驚いて、封筒の中身をまたもどすと、私はお母様に尋ねた。
そう、その中には水田先輩に抱きしめられている私の写真があった。

「これだけではないわよね?5年前の事も……」
お母様は5年前の写真も見たという事が解り、日名子さんがこの写真も撮らせたことが容易に想像ができた。

静かに息を吐いてその封筒をテーブルの上に置くと、私はお母様に真剣なまなざしを向けた。
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