【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
佐伯部長が絡むと、結局私情が入りまくってる……?
自問自答しながら、目の使いすぎで軽く痛む頭を押さえつつ、つい言葉が零れ落ちた。
「だって、仕事ができないって思われたくないし、認められたいじゃない……」
あの頃みたいな子どもじゃないって、思われなきゃ……。
最後の言葉は、声になっていなかったと思う。
デスクに顔を埋め、呟くように言っても、誰もいないフロアで返事が返ってくるはずもない。
――あるはずも、なかったのに。
「どうして?」
突然、背後から聞こえた声。忘れたいはずの、その声が。
「えっ!」
驚いて顔を上げ、立ち上がろうとした瞬間、視界がぐらりと揺らぎ、目の前が真っ白になった。
やばい、倒れる……!
そう思った瞬間、ふわりと懐かしい香りに包まれる。
甘さの中に、どこかエキゾチックな香り。近くに寄らないとわからないほど仄かで、それでも、あの頃と同じ香水の匂いだった。
状況を理解するのに、時間はかからなかった。
意外と筋肉質でがっしりとした腕に支えられ、私は細身に見える佐伯部長の肩にもたれる形になっていた。
――やばい。
慌てて身を引こうとした瞬間、鋭い声が降ってきた。
「まだ動くな!」
自問自答しながら、目の使いすぎで軽く痛む頭を押さえつつ、つい言葉が零れ落ちた。
「だって、仕事ができないって思われたくないし、認められたいじゃない……」
あの頃みたいな子どもじゃないって、思われなきゃ……。
最後の言葉は、声になっていなかったと思う。
デスクに顔を埋め、呟くように言っても、誰もいないフロアで返事が返ってくるはずもない。
――あるはずも、なかったのに。
「どうして?」
突然、背後から聞こえた声。忘れたいはずの、その声が。
「えっ!」
驚いて顔を上げ、立ち上がろうとした瞬間、視界がぐらりと揺らぎ、目の前が真っ白になった。
やばい、倒れる……!
そう思った瞬間、ふわりと懐かしい香りに包まれる。
甘さの中に、どこかエキゾチックな香り。近くに寄らないとわからないほど仄かで、それでも、あの頃と同じ香水の匂いだった。
状況を理解するのに、時間はかからなかった。
意外と筋肉質でがっしりとした腕に支えられ、私は細身に見える佐伯部長の肩にもたれる形になっていた。
――やばい。
慌てて身を引こうとした瞬間、鋭い声が降ってきた。
「まだ動くな!」