【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
少し強い口調に、私は佐伯部長の腕の中でビクッと身体を固まらせた。

見なくてもわかる上から聞こえた小さなため息とともに、そっと佐伯部長は私の肩を持ち椅子に座らせる。

「もう上がれ」

静かに告げられた言葉に、つい反論しかける。

「でも……」

「でもじゃないだろ! なんでも一人でやろうとするな!」

苛立ったような声に、私は言葉を失った。

そう言いながら、佐伯部長は私のパソコンを操作し始める。
私はただ、その手の動きを黙って見つめていた。

「もうこれだけできていれば十分だ。送るから待ってろ」

「いいです! 自分で帰れます!」

言い捨てて立ち上がろうとした瞬間、佐伯部長の鋭い視線が私をとらえた。

「倒れかけた部下を送るだけだ。勘違いするな」

――なによ……。

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