【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
プロポーズしてからもうすぐ半年以上がたち、一緒に住みだしてからも同じぐらい経つが、知らないうちに、沙耶がいることが当たり前になってしまっていたように思う。
昔はこんなの当たり前だったのに。
そんな事を思いながら、部屋を見渡した。
飲みに行っているのなら、邪魔をしたくはない。
でも、まだ仕事なら迎えに行って……そんな思いから俺はスマホを取り出し沙耶にコールする。
いつも比較的早く出る沙耶がなかなか出ない事に、なぜか不安がよぎる。
留守電になってしまい、俺はポンとソファーにスマホを置くとドサッとその横に座りテレビをつけた。
本当なら、風呂でも入って着替えるとことだが、沙耶を迎えに行くかもしれないと酒も飲まず大人しくしている自分がなぜかおかしかった。
10分程ぼんやりとテレビを見ていると、スマホが音を立てた。
「もしもし!」
自分でも笑えるぐらい、すぐにスマホに出ていた。
『もしもし』
少し甘い沙耶の声に、ホッと安堵した自分に気が付き、どれだけ俺は沙耶に会いたいんだよと自分でも嫌になった。