【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら

「すごい盛り上がりだね」
「そうなの。こんなに盛り上がるのも部長が来てからだよね。前の部長は年配だったし静かな人だったし」
友里の言葉に私もそうだったなと昔を思い出す。

「羽田先輩ビールでいいですか?」
後輩の男の子の言葉に、昨日眠れてないしウーロン茶と言いたかったが、場を乱す様な気がして小さく頷いた。

「お疲れ様ですー!」
満ちゃんがどこからともなくやってきて、私の前の席から身を乗り出して私と友里を見た。

「沙耶さんと友里さん!聞いてくださいよー」
まるですごく不幸なことがあったような言い方に、私も友里も苦笑して満ちゃんの言葉を待った。

「部長の近くに行けないんです」
そう言って満ちゃんは目の前のビールを流し込んだ。

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