【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
「佐伯部長おはようございます」
自分でも驚くほど冷静に、そして微笑んで言えたことに驚いた。
「……おはよう」
そして驚いた顔をしたのは、佐伯部長だった。
「後でモデルを何人か追加で候補を見つけたので、確認してもらっていいですか?それとも予算を調整して全員起用するのも……」
「羽田」
「はい?」
真っすぐに見上げた私の視線と、部長の視線が交わる。
その瞳にまだ少し心は揺らぐけど……。
でも前に進みたい。そんな思いで部長を見つめ返した。
「後で確認する。俺の部屋にきて」
フッと視線を先に外した部長に、少しだけ傷ついたのは私だけの秘密だ。