【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
サークルに入ると、思った以上に楽しく、友達もできて、海や山へとたくさん出かけた。

優悟はサークルの中心メンバーで、みんなの人気者だった。整った顔立ちと優しさで、特に女子からの人気が高かった。
優悟の周りにはいつも人が集まり、もちろん彼を狙う女の子も多くいた。

そんな中、私は"かわいい後輩"というポジションで、ずっと近くにいられた。それだけで幸せだった。

「沙耶は俺が勧誘したんだから、責任取らないとな」

そう言って屈託なく笑い、妹のようにかわいがってくれるだけで、十分だった。

でも、私が大学2年、優悟が4年になるときに、優悟に告白され、初めての"彼氏"ができた。

結果から見れば、気の迷いだったのか、気まぐれだったのか、ふざけただけなのか、遊ばれただけなのか……。
今となっては、もちろん分からない。

優しくて非の打ちどころがない彼が、何の取り柄もない私に仕掛けた甘い罠に、私は引っかかってしまったのかもしれない。

それからの1年半――唐突に残酷な終わりが来るまで――彼は、私にとってすべてと言っていいほど大切な人であり、私の"初めて"を奪った男だった。

そのときの私のすべてだった。
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