凛々しく、可憐な許婚
「男女とも安定した射形の子が多いね」

「ええ、弓道で特待生になって、この学園にきている生徒も多いですし、精神力の強化に力を入れてきた成果が現れています」

「例えば?」

「毎月一回、一泊二日なんですけど、希望する生徒たちには学園の合宿施設を利用して、朝から座禅をしたり、カルタ(百人一首)をしたり、書道をさせたりしています」

弓道の強さは、"心技体"が一つになってこそ発揮されると咲夜は信じている。

文武両道を極める咲夜は、カルタはA級、書道は師範を持っていた。

座禅は、祖父の弓道場の生徒の中にお坊さんがおり、頼み込んで、3ヶ月に一回、学園での授業の一貫と称して座禅を実施していた。

もちろん道実学園長には許可をもらっている。

生徒達の父兄からは、弓道だけでなく、カルタや書道が身に付くとあって概ね好評だ。

「咲夜さんと合宿でずっと一緒にいられるなんて夢みたいだろうね」

「ポイントがずれてます、鈴木先生」

朝から、心の中で一人、突っ込みを続けてきたからか、とうとう声に出して本音を漏らしてしまった。

慌てて口に手をあて口をつぐむと、

尊が嬉しそうに微笑んでいた。

"やっぱりからかわれてる"

咲夜が表情を正すと、最後の組が、矢を射終えたところだった。



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