主任、それは ハンソク です!
15 / 主任、あなたと一緒にいたいです

「ぅうーん、やっぱり統括副部長はすごいですっ!」

 拳を握り絞めチコたんが瞳を煌めかせた。今でこそ軽くなったものの、いわゆる男性恐怖症だという彼女が唯一普通に話せるのが主任だと聞いた。

「私もかつて統括副部長には、耳栓して遥か遠くからガクガク震えつつご指導ご鞭撻いただきましたが、情に厚く弱きを助け強きを挫くって感じが、いかにも統括副部長らしいですっ」

 みみ、せん?

「あ、あの。つかぬ事を、聞きますが」

 勇気を振り絞って、チコたんを見つめた。

「チコたん……さんは、主任の、その、秘蔵っ子って、カジタツさんに聞いたんですけど」

 すると、途端にチコたんの童顔で可愛い顔が激しく歪んだかと思うと、大仰に腕を組んで、むふぅーっと鼻でため息をついた。

「もぉっ、なんであの人はわざわざそんな、人を嫌な気分にさせる言い方するんですかねぇ!」

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