主任、それは ハンソク です!

 その事実に改めて気が付いて、その場に頽れそうになる。

 その時。雲間から僅かに顔を出した月が、垣根越しの背の高い後ろ姿を暗闇から浮かび上がらせた。

 途端に私の心臓が大きく脈打って、それまで私にどろどろと絡みついていた不安は、あっけなく吹き飛ばされてしまった。


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