主任、それは ハンソク です!

「そうか、今回は不参加なのか……」

 あれ? もしかして知らないのかな。

「今回は、っていうか……。えっと、定例会は基本、私たち派遣や契約、パートさんなんかは不参加ですから」

 そう、明日は件の月一回の定例報告会。要は各部で行われる飲み会のことだけれど、一応、契約・派遣・バイト・パートさんを含む全員参加と謳っている。
 でも、正社員さんが終わり切らない仕事を私たちに振って行くので、参加できないのが常。その内、正社員以外は実質不参加が暗黙のルールになっている。

「……なにぃ? 俺は聞いてないぞ、そんなマイナールールは」

 主任の瞳に何か不穏な光が宿ると、突如、ばね仕掛け人形のように立ち上がった。なんか、背後にすごいどす黒い炎の渦が見えるのは、気のせい? 幻覚?

 てか、あれ? 私、またなんか、余計な事、言った?

「そうかぁなるほど。それは良い情報をありがとう、得野」
「は、……はぁ」

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