主任、それは ハンソク です!
5 / 主任、なんか、わからないです

「……あ、すまん。飲み物、追加するか?」
「あああ、いえ、あ、いや、あの、や、やっぱり追加、します」

 不意に主任が俯いた。なんだろう、主任の肩が震えている。と、主任が盛大に噴き出した。

「なっ」

 絶句する私を見て更に笑い転げる。なんか、こんな光景に既視感を覚えて、私はすごく凹んだ。

「あ、す、すまない。つい、その、可笑しくて」
「……いえ、いいんです。こういうの、よくありましたから」

 そう、幼稚園や小学校の頃。同じ組の目立つ男子が先頭になってちょっかいを掛けて来ては、私の動揺する様を見てみんなとケラケラ嗤うという、王道を行くいじめ。
 当の本人たちは『ちょっとしたイジリ』だと思っているみたいだから、余計に達が悪い。

「もしかして、怒ったか?」

 私は首を左右に振るけれど、たぶん表情は怒っているかもしれない。

< 47 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop