主任、それは ハンソク です!
「あの、でも、主任。それを言ったら私だって、そういう勉強は全くしていないですし、あくまでも独学ですけど、いいんですか?」
「えっ、そうなのか?」
驚く主任に、私はこくりと頷いてみせる。
「俺はまた、大学の美術科とか芸術系の専門学校出身かとばかり思ってたが、……そうか、独学か」
うーむ、と口元に手を宛がったまま考え込む主任を見て、なんだか急に嫌な胸騒ぎがしてきた。
もしかしたら、私、余計な事言っちゃった? また元に戻される? いや、待って。戻れない。だって、新しい人が来ちゃってるもの。じゃあ、今度こそ、本当に雑用係、行き?
「あのな」
「あのっ、」
声が、被った。
「あ、どーぞ、主任っ!」
いやいや、と苦笑して譲ろうとする主任に、いいですからっ! と私は必死で拒否をする。怖いけど、どうせ聞くなら早い方がいい。