主任、それは ハンソク です!

「いやぁ、私もびっくりしたんだよ」

 駅前のファーストフード店の奥まった席で久住先輩はそういうと、一番大きな二段構えのハンバーガーを真上から拳でつぶす。
 もう何度も見ている光景だけど、いまだにこればかりは慣れない。

「どうしたの? 冷めちゃうよ?」

 久住先輩は私にも食べろと促すと、ためらいなく潰しハンバーガーを口に運んだ。

「あ、はぁ。じゃあ、いただきます」

 私は、定番のサクサクチキンナゲットを、ひとくち、もそりと食べる。ディップの山葵マヨネーズの辛味がつーんと頭を突き抜けて、自然と涙を誘うこの感じがたまらない。

「……ねぇ、主任ってさ、普段はあんなに四角四面の硬派気取りだけど、女性方面だけはだらしないのかな」
「へ?」

< 70 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop