主任、それは ハンソク です!

 主任が珍獣にでも出くわしたかのように、きょとんと私を見る。

「今日は、週末広告のポップ制作の〆切日ですよっ!」
「お、おお。そ、そうだったな」

 完全に形勢逆転みたいになってるけど、知ったことじゃない。

「それからっ」
「はいっ!」

 鬼軍曹から叱咤される一兵卒のように、主任が背筋をぴしっと伸ばした。

「私の苗字はとくだじゃなくて、得野ですっ!」


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