眠れる窓辺の王子様
五章 真夜中の別れ
このところ、真夏を思わせるきつい日差しが何日か続いていた。
時折校庭の木々の中から、どちらかといえばまだ遠慮がちな蝉の声が聞こえてくる。
学校からの帰り道。
私は額に張り付いた前髪をかき上げ自転車を漕ぎながら、きょろきょろと当たりを見回す。
案の定、私が探しているアイツの姿はなくて、ひとつため息をこぼす。
結局、最近の定番コースとなった帰り道を、いつも通り自転車で突き進んだ。