眠れる窓辺の王子様
『未来が待ってるその先で』 牧野ヨウ著
────「ああ、やっと辿り着いたのか。」
肩に食い込んでいた荷物を下ろし、わたしは深く息をはきだした。
漠然と何かを探し求め始めた旅だった。
目的地も終わりも定めず、ただ自分の思うままひたすらに歩み続けてきた。
寂れた村や賑やかな王都、川沿いの町に丘の上の町。
たくさんの場所を訪れ、そこで出会った人々の顔を一人一人思い浮かべた。
住む場所も食べ物も違えども、
皆同じ時間を過ごし、
道を歩み、
そして当たり前のように明日に祈りを捧げていた。
彼らと過ごす中で彼らの生活を学び、わたしはどう生きるか、これからのことを考えていた。