エリート弁護士と婚前同居いたします
「いつプロポーズされたの!?」
「昨夜、一緒に出かけた時に……」
 頰を赤く染めて話す姉は本当に可愛らしい。そして侑哉お兄ちゃんがお義兄さんになってくれることがとても嬉しい。
 昨夜の私は親友の詩織(しおり)と女子会に出かけていて帰宅は深夜に近かった。

「よかったね、お姉ちゃん。幸せになってね!」
 心からのお祝いの言葉を贈る。
「お父さんとお母さんには伝えたの?」
「ううん、今日一緒に実家に戻ってお互いの両親に報告するつもりなの」
 姉の幸せそうな姿に胸がいっぱいになる。共働きで忙しい両親に代わり、ずっと私を守ってきてくれた姉。そんな姉が自身の幸せをつかんでくれたことが何よりも嬉しい。

「あの、でもね……茜に話さなきゃいけないことがあるんだけど……」
 姉が言いにくそうに私の顔をちらりと横目で見る。
「何?」
 センターテーブルに置かれたコーヒーを一口飲み、返事をする私。

「侑哉が七月から大阪で長期の仕事を担当することになるの」
 ほんの少し寂しそうに姉が言う。
「ええっ!! そうなの?」
 侑哉お兄ちゃんは建築士で大手の建築会社に勤めている。
「うん、それでついてきてほしいって言われて。私、一緒に行こうと思うの」
 姉にしては珍しいキッパリとした口調。
 優秀なお兄ちゃんのことだもん、仕方ないことだよね。
 婚約者になったお姉ちゃんが一緒についていくこともごく自然なことだ。

「でね、来月末には引越しをするつもりなんだけど……」
 そうだよね、七月だもの。
「茜、ここでひとりで暮らす?」
 ん? ひとりで暮らす? 独り暮らし?
 その事実を理解した途端、サーッと血の気がひく。姉が言いにくそうにしていた理由がわかった。
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