君と永遠に続く恋をしよう
「もしもし、緒方です」


いつも苗字を名乗らない様に…と兄から注意されていたにも関わらず、母はやっぱり言ってしまってる。それを聞きながら苦笑し、もう片方も乗せた。


「あら、平野君?」


声を明るくして名前を呼び、「え?奈央?」と言いながら振り返る。


「帰ってきたわよ。ついさっき」


そう言いながら私に目を向け、母と目の合った私は、さっと顔を背けて二階へ上がる。
これまで平野さんが電話をしてきても逃げることなんてなかったのに、思いきり避ける様な態度を取ってしまった。


部屋のドアを閉めると母が来て、奈央…と呼びながらノックした。


「何?」


ドアも開けずに返事すると、平野さんからの伝言を聞かされた。


「平野君が『ごめん』と謝ってて欲しいって。奈央の機嫌を損ねる様なことを言って『悪かった』って言ってたわよ」


何かあったの?と訊ねる母に、「兄妹喧嘩みたいなもの」と答える。彼に告白されて、兄を侮辱する様な言葉を受けたことは、母には当然話せなかった。


「あんまり平野君に甘えちゃ駄目よ」


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