君と永遠に続く恋をしよう
広大さんも弱ったという感じで言葉を詰まらせ、その様子を見た父はハッとしたように声を上げた。


「そうか、そういうことか」


急に理解した様な言い方をして、母に向かって「ビール」と言い渡す。


「祝杯だ」


そう言うと彼に「付き合えよ」と願ってる。
広大さんは照れくさそうにしながらも「はい」と返事をし、母と私は顔を見合わせ、「昼間っぱらから飲むの!?」と呆れ返った。


「いいだろ。これも賢也の導きがあってこそだ」


都合のいい時だけ兄を引き合いに出す父を見て、母は「全く」と呟きながらキッチンへ向かう。
その母を手伝って一緒にお酒のつまみを作り、四人でビールを乾杯して飲み交わした。


父は深酒をしながらも広大さんに「奈央を頼む」と何度も言い、その度に彼は苦笑して、「任せて下さい」と答えてた。



(兄さん…)


私は二人の姿を見つめながら、在りし日の兄を思い出す。


(こうやって、三人が一緒に飲めたら良かったのにね)


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