君と永遠に続く恋をしよう
風に誓う未来
その日から二週間後、ようやく明日香さんを兄の遺影の前に連れて来れた。

母は彼女を見ると済まなさそうな顔をして、「ようこそおいで下さいました」とお礼を言った。


「……賢也ったら、貴女みたいに綺麗な人を置いて逝ってしまって……本当にすみません」


手を握ると「体調は大丈夫なの?」と訊いてる。

明日香さんは、私が彼女の部屋へお邪魔した時よりも幾分顔色が良く、頷くと「少しだけ元通りになってきました」とハリの戻りかけた声で答えてた。


「ゆっくりお参りして下さいね。賢也に言いたいことがあったら、遠慮なくぶつけてくれて構わないから」


もう反論も何も出来ないんだから…と寂しく笑い、どうぞ…と言って遺影の前を空ける。

明日香さんは父と母に深々と頭を下げると遺影の前に進み、蝋燭に火を点けると線香にも火を移し、手を合わせて神妙な表情で拝みだした。


手を下ろすと遺影の兄に向いて、何かを語りかけてるみたいだ。
時々鼻を啜らせながら目頭を拭い、懸命に現実と向き合おうとしてる。


私はそんな彼女の背中を見遣りながら虚しさを感じ、取り残される立場になるのはつくづく嫌だな…と考えた。


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