皇帝陛下の花嫁公募

「あの子達、日に日に君に似てくるな」

 エーリクと握手をするエアハルト、フローラに褒められて頬を染めるシャルロッテを見ながら、アンドレアスはそう囁いた。

「えっ、そうかしら。二人とも、あなたにそっくりじゃないの」

 少なくともリゼットにはそう見える。どちらも黒髪に青い瞳だからだ。

 リゼットはアンドレアスと共に、新婚の二人に近づき、歓迎の言葉を伝えた。二人とも幸せそうな笑顔で、リゼットも嬉しくなってくる。フローラのことはリゼットも幼い頃から知っていて、妹のように可愛がっていたので、この二人が結婚してくれたこと自体が嬉しくてたまらない。

 もっとも、自分達一家は彼らの結婚式に招待されていて、会ったのはそんなに前ではない。改修されたアマーナリアの城で、エアハルトとシャルロッテはリゼットの弟や妹に遊んでもらい、楽しい時間を過ごしたのだ。

 シャルロッテは花嫁衣装を着たフローラを見て、自分も早く結婚するのだと言い出し、アンドレアスを慌てさせていた。シャルロッテが結婚するのは、あと十年以上先のことだと思うのだが、子煩悩なアンドレアスは今からシャルロッテを嫁がせたくないなどと言っている。

「旅で疲れているでしょう? お部屋に案内するから少しゆっくりしていて。また後で会いましょう」
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