それでも、わたしはこれを恋と名付けたい。


わたしがまさくんを吹っ切れる時は、いつ来るかは分からない。

大丈夫だよって笑える日々が、すぐに戻ってくるかも分からない。

その頃には、一ノ瀬さんの気持ちも移り変わっているかもしれない。


だから、

今この瞬間抱いている感情を、大事にしたいと思う。



「おーい、吉川!迷子になるなよー!」


すっかり遠くまで歩いて行ってしまっている一ノ瀬さん。

い、いつの間に……


「はい!今行きます!」

遠くなった背中を駆け足で追いかける。
わたしたちが春を迎えるのは、まだ少し先の話。


                 END
  
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