MちゃんとS上司の恋模様



 悲痛な叫び声を上げていると、須賀主任は楽しげにそれでいて艶っぽく笑った。

「気をつけて帰れよ?」

 それだけ言うと、須賀主任は踵を返した。
 だが、すぐに私を振り返って優しげに目を細める。

「言っておくが、俺は誰にでも構うほど暇じゃねぇから」
「へ?」

 いきなり突拍子もないことを言い出した主任に目を丸くする。
 そんな私を見てクツクツと笑ったあと、今来た道を戻って行ってしまった。

「あ……そうだった!」

 先日、女子トイレで他の課の子たちが噂していたのを思い出す。
 須賀主任を地下鉄の駅で見かけたから、住まいはその沿線のどこかだろうと話していた。
 と言うことは、須賀主任だってこの駅に来るとなれば遠回りになってしまうはずだ。

 久美さんにはあれだけ言っていたのに……

 優しいんだか、スケベなのか、意地悪なのか、鬼畜なのか。全く訳が分からない。

「須賀主任って掴めないなぁ……」

 私はその後ろ姿を眺めたあと、改札へと足を向けた。





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