不器用な彼女

結婚式

ピンポーーーーン♪ ピンポーーーーン♪ ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポーーーーン♪

相変わらずの連打だ。

今日は一美の結婚式で、社長が車で迎えに来る事になっている。
約束の時間より20分も早い到着だ。

髪をコテで巻いてる最中なのに、化粧も中途半端なのに、服だってまだパジャマなのに、詩織は慌てて玄関の鍵を開ける。

「おはようござ…」

ちょっと早すぎやしませんか？と文句を言いたかったのに…。

「おはよ、アチーな朝から、てか、お前まだパジャマ？」

ジャケットは着てないけど…黒のスラックスに真っ白なシャツ。シャツは胸元までボタンが開けられていて、ゆるーく白いネクタイが結ばれている。髪型もしっかりセットされていて、普段の社長より色っぽく…文句を言うのを忘れてしまった。


「…入っていい？暑いんだけど」

「ど、どーぞ」

社長をリビングに通すと、詩織は支度の続きを始めた。