不器用な彼女
運命ってやつですか?

後始末が大変です!

ピンポーーーーン♪ ピンポーーーーン♪ ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン♪…


いつもにも増して激しい呼び鈴だ。
尚美は忘れ物でもしたのだろうか?今日は仕事じゃなかったっけ?なんて思いながら玄関に向かう。

ガチャ…

「何?忘れ物でも……!!!!!」

目の前にはボサボサな髪に無精髭を生やし、寝巻きのようなスウェットを着ている社長が居た。

社長は無言のまま詩織を抱き締める。

「え…社長…どうしたんですか?」

「ゴメン!」

「え?」

「子供、産んでくれ」

「え?」

「結婚しよ」

「は?」

「愛してる」


あの社長が泣いている。
詩織は呆気にとられながらも社長の腰に腕を回した。

(少し、痩せたみたい?)


「あの…お取り込み中申し訳ないんですけど…」

顔を上げると気の小さそうなオジサンが困った顔をしている。紺色のブレザーに白い手袋。見るからにタクシーの運転手だ。

「あ、スンマセン。…詩織、金貸して?」

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