不器用な彼女
「このベット使えよ、俺向こうに行くから」

「いえ、私がそちらにお邪魔します」

「は?そりゃまずいだろーよ!おいっ!」




慌てる椎名をよそに、詩織は服を脱ぎ捨てベットに潜り込む。

「おい!」

「…あったかいです」

(…マジか…?脱いでるし!)


詩織はモゾモゾと動き椎名の体にくっついてくる。

(こいつは男のベットに入るって意味が分かってるのか? 自分が女だって分かってんのか?…俺が男として見られてないのか?)

“据え膳食わぬは男の恥”
そんな言葉が脳裏に浮かぶ。
頭の中で色々な考えがグルグルと巡る。


頭の中で天使と悪魔が戦うもあっさり悪魔が勝った。

(俺も男だ)

詩織の唇から首筋にキスを這わせる。背中に回した手で細い腰を引き寄せた。
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