不器用な彼女
月曜日、恐る恐る事務所のドアを開ける。

「詩織チャン!おはよ!」

目の前にはインフルから生還した木村一美(きむらかずみ)が元気な様子だ。

「一美先輩!もうスッカリ大丈夫なんですか?!」

「迷惑掛けてごめんね〜」

事務所に社長の姿は見当たらない。
詩織はパソコンの電源を入れると、作ってきた弁当を冷蔵庫に仕舞う。

「詩織チャン!聞いて!今日社長がさ〜」

“社長”と聞くだけで心臓がドキッと飛び上がる。


「そう言えば…社長は、今日は」

「私が出勤したらすぐ出掛けたよ? 朝ご飯買いに行くって。それがさ、髪が短くなってて、ヒゲも綺麗にしてんの!もービックリ!別人!

今まで散々言っても直さなかったくせに…もしかしたら…女かも。。。見合いしたとか。。。」

一美の熱弁は続く。

「余計な話をしてんじゃねーよ」

いつの間にか後ろに社長が立っていた。
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