不器用な彼女

四面楚歌?

会社を辞めてきた日は…目がパンパンになるまで泣いた。

大好きな仕事を辞めた。
社長が軽薄な人だと知った。
社長を大嫌いだと思った。

頭の中はぐちゃぐちゃ。


事務所や社長の携帯の着信も何度かあったけど…それらは完全に無視をした。まだ話が出来ないと思ったから。。。

留守電には「連絡しろ」「連絡待ってる」「大丈夫か?」「具合悪いのか?」って短いメッセージ。詩織は何度も再生して繰り返し聞いていた。
メッセージを消せなかった。

退職願いとか、保険証を返すとか、私物を取りに行くとか、嫌でも連絡は取らなきゃならないし、一度は会社にいかなきゃならない。郵送でもいいかな?
でも、菓子折りのひとつ持って挨拶もしないととも考える。


会社を辞めて初めての週末。

「話したい事があるの」と言う詩織の家に尚美が来る事になっている。
「良い話?悪い話?」なんて尚美は探りを入れて来るけど詳しい事はまだ話しておらず、「会社を辞めてきた」「社長にこんな事を言われた」なんて話したら…きっと驚くんだろうな〜なんて考えていた。

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