二番目でいいなんて、本当は嘘。
男の顔には、見覚えがあった。
祖父が経営する寿司屋をよく訪ねてきてくれた常連さん。
そして、私がいまお世話になっている会社の、若きCEO。

桐生薫(きりゅうかおる)だ。


「まずい、まずい、まずい……」

私は今、外資系コンサル会社『UNIX』で働いている。
正社員ではなく、契約社員としてだ。

それまで働いていた会社を辞めた私は、再就職のあてもなく、途方に暮れていた。
そんなときに救いの手を差し伸べてくれたのが桐生社長だった。
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