二番目でいいなんて、本当は嘘。
とっさに飛び込んだのがバスルームだったのが幸いした。
私は意識をはっきり呼び戻すため、そのままシャワーを借りて浴びることにする。

ほんのりしたオレンジ色の明かりの下でもわかるくらい、体のあちこちに赤い跡があった。
指でなぞると、夜の間中、桐生社長に愛された記憶がよみがえる。
そしてあふれてくる、幸せの余韻。


嫌じゃ、なかった。
むしろ、いままでしてきた恋愛はなんだったのだろう、と思うくらい、幸福に満たされた。
……ものすごく、気持ちよかったし。

これが、大人の威力というものなのだろうか。体の奥に閉じ込められていた感覚を、これでもかと引き出されてしまった。

でも、社長と契約社員という立場上、こんな関係は不適切だ。

「どうしよう……」

そのセリフの答えは、シャワーを浴びて意識を呼び覚ましたあとも、浮かんではこなかった。
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