二番目でいいなんて、本当は嘘。
薫さんは、カーペットに横になり、私の膝に頭を乗せた。

「……疲れた」

前髪が少し伸びている。

「お仕事、大変なんですか?」
「またしばらくアメリカに行かなければならなくなって」
「淋しいです。でも、頑張って」

すると薫さんが、片手を伸ばして私の頬に触れた。
引き寄せられるように、唇を重ねる。

「未央さんがいるから、僕は自分の存在意義を確かめられる」

薫さんにしては、弱気な発言だ。


彼には彼の、戦いがあるのだろう。
仕事だけではなく、いろいろな場面で。

私は、薫さんを癒す存在であり続けようと思った。



でも、そんな幸せが壊れるときが、ある日突然やってきた。
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