2570 ー男子高校生とOLー
「誰だ君?」
ナイスタイミングだが王子様ではない
彼はマンションの上の階に住む
高校2年生の男子
オムライス大好き君だ
そういえばこの子の名前も知らなかったな
男子高校生は私を優しく引き寄せながら、男の腕を私の腰から引き剥がし「離してください」と冷たく言い放った
彼の腕の中で男に背を向けながら、私はドクドクと心臓を鳴らす
通りかかって、助けてくれたの.......?
「帰りましょう」
男子高校生は私を見下ろして言った
「君は?」
怪訝そうに尋ねる男に、私は顔だけ振り返ってぎこちなく笑う
「私の知り合いなんです。あの、気にかけてくださってありがとうございました。私は帰ります」
男子高校生は依然冷たい視線で男を見ていたが、私が礼を言ったからか、合わせたようにペコリと小さく頭を下げて踵を返した
「待って」
男に引き止められ、私たちは足を止める
「彼女、酔ってるから。僕が家まで送るよ」
私はその場で男子高校生から見下ろされ
「酔ってるんですか?」
と尋ねられる
男に嘘をついた手前、頷くしかない
「え、ええ」
私が首を縦に振ると、男子高校生はスポーツバッグを肩にかけ直し、私の腰に腕を回して歩き出した
男の事は完全に無視したままだ
「フラフラするなら寄り掛かってください」
「あ、ありがとう」
「俺、汗臭くないですか?一応シャワーは浴びたんですけど」
「う、うん。大丈夫」
そん会話をしているうちに、後ろから駆け寄るような足音が聞こえて私は再び立ち止まり、クルリと振り返った
「一緒に送ります」
「い、いいですって!」
「でもやっぱり心配なので」
男が歩きながらそう微笑むので、私はとうとう根負けして頷くしかなかった