2570 ー男子高校生とOLー
「うわー、女装の精度が高いのはどうやらあなただけみたいね」
所詮は男子高校生の女装だ
ガッチリとしたガタイの男子たちがメイドやらセーラー服やら色々なコスプレをしているが、流石に無理矢理感が否めない
「いらっしゃいませ!」
「ど、どうも」
アイドル風のなんちゃって制服を着た男子の挨拶に笑みを返しつつ教室に足を踏み入れる
レイこと安井くんは私を教室の端の席に案内してくれた
「真ん中の方も空いてますけど、端のほうがいいですよね?」
「うん!端っこがいい!ありがとう」
昔懐かし、動かせばギギギと音がするパイプ椅子に腰をかけて辺りを見渡すと、教室の窓際に人だかりができているのに気がつく
「なんだあれ」
「あれはクラス1かっこいい子がただ生クリームを泡立てているのを、女子たちが見にきているだけです。お水どうぞ」
安井は苦笑いしながらコトリとグラスを机に置いた
「ありがとう」
なるほど、人だかりでその奥が見えづらいが、クラスのアイドルがいるわけか
「あなたもとっても可愛いのにね」
微笑みかけると安井は首を振って否定する
「僕はほんと......インキャなんで......」
「はははっ、なにそれ」
突然の自虐に思わず笑いつつ、私は机に置いてあった手作りのメニューを開いた
「ねぇ、あなたの分も注文するから一緒に食べましょ。そこ座って」
「ありがとうございます。じゃあ準備をして来ますね」
安井はふわりと微笑み、私が注文したケーキを2つ持ってくる
そして「失礼します」と一礼して向かいの椅子に腰掛けた