きみにもう一度とどけたい、この声を


風邪にしては咳もクシャミも出ない喉のイガみを数か月抱えて、それでも私は日常の中の非日常に夢中だった。


歌手になる。それがずっと私の夢だった。

キャスを聴いたレーベルからのスカウトメールが届いて、そこからレッスンに通わせてもらえるようになって1か月が過ぎた頃。

夢に向かって恵まれたスタートを切ったばかりで、見るものすることのすべてが輝いてた。


だけど。

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