きみと、もう一度。


家に帰るとご飯があるって、やっぱり幸せなもので。

実家の心地良さに、"もう東京に戻りたくない"と何度思ったことか。



「ゆな、調子はどう?」


今晩食卓に並んだのは、大量の唐揚げ。
大皿に盛られた唐揚げを家族みんなで食べるのが昔は日課だった。


「もう大丈夫。こっちに戻って久々に友達ともたくさん会えたし」


「そう。仕事にはちゃんと復帰できそう?」


「多分、大丈夫かな」


東京に戻ったらすぐ仕事だ。


朝起きて、通勤して、半日オフィスにこもって帰宅するという毎日がまたやって来る。

そう考えると、ため息が出てくる。



夕食を食べ終え、シャワーを浴び、寝る支度をしてベッドに潜り込んだ。


眠りにつく前に深夜のニュース番組をよく見る。

日常的な流れで今日もテレビを付けた。


いつも見ているニュース番組。

とある一件の出来事について報道している最中だった。


テレビ画面いっぱいに映し出された1枚の写真。
それを認識した途端、脳思考が停止した。
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